御曹司の俺には興味が無いだと?〜もう1人の俺を愛する秘書補佐

「あまりにも身分が違い過ぎます。華は、小さい頃から大人しく、静かに本を読むのが好きな子です。華やかな世界で、幸せになれるとは思えません」
お兄ちゃんは険しい顔をしていた。

「必ず私が守ります。華さんが穏やかに過ごせるように･･･ただ、私の知る華さんは、とても頭が良く、仕事も完璧にこなします。そして、心が美しい。私は、世界中の人に自慢できます。私の最愛の妻だと」
お兄ちゃんは黙って、お母さんの顔を見た。
「華。あなたの気持ちはどうなの？どんなことがあっても、國宮さんを支える自信はあるの？」
「自信は･･･正直ない。でも、空斗さんの傍にいたい」
「そうね･･･そうよね。子供を産むのだって不安で仕方ないものね･･･自信は無くても、華に覚悟はあるの？」

私が空斗さんを見つめると、私の手を力強く握り締めて、声を出さずに『大丈夫』と口を動かし、小さく頷いていた。
「空斗さんを支えたい。ううん、支えるために、努力する」

お母さんは、私に優しく微笑んだ後、空斗さんを見た。
「國宮さん、あとはゆっくり華とお話し下さい。私達は華を応援するだけです」
静かに話すお母さんは、涙を浮かべていた。

「では、また改めてご挨拶に来ます。今日はこのまま華さんを連れて帰ります」
最小限の荷物だけを持って、私達は、急いで空斗さんの実家へと向かった。