御曹司の俺には興味が無いだと?〜もう1人の俺を愛する秘書補佐
ある日課長から、
「赤斐さん。会議室まで行ってくれますか?」
と、声を掛けられて会議室に入ると、専務秘書の北郷さんが先に座っていた。
北郷さんから言われたのは、補佐として秘書課に転属すること。

「こんな何の取り得もない私が、専務秘書の補佐にですか?」
「君なら専務に媚びを売らないだろうからね」
そういう事なんだ・・・でも、仕事はやりがいがありそうだなぁ・・・
「分かりました。お願いします」
「但し、専務に恋愛感情を持ったり、そんな素振りを見せた時は、直ぐに元に戻ってもらいます。いいですね」
「はい。ただ、私は専務のような華やかな方は苦手ですから、ご心配のようなことはありません」

長めの前髪を後ろに流して纏め、整った目鼻立ち。
特に切れ長の目は、いかにも仕事が出来ますってイメージがある、紳士的な専務。

女性社員は、「財閥の御曹司でイケメンって、たまんないね」「1度でいいからデートしたい」
そんな話をしてるけど、興味が無い。
だって、住む世界が違う人なんだから。
私にとっては、本の世界の人みたいな存在。

私は、静かに傍にいて、優しく微笑んでくれる人がいい。
多分、そんな人は現れないんだろうな・・・
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