不遇な財閥御曹司は、政略妻に一途な愛を捧げたい。



「本当に可愛いって思うよ。はじめに写真で見た時から」

「……写真?」

「そう。岡藤社長……今はお義父さんだった。お義父さんが、藍南さんの写真をいっぱい見せて来たから」


 お父様……どうして勝手に見せるのよ。どんな写真を彼が見たのか少し気になるが、コースランチの最後のデザートが運ばれてきた。


「ミルフィーユだ……美味しそう」


 目の前に現れたのは、私の大好物なピスタチオのミルフィーユだ。頬を緩ませながら、一口サイズにフォークとナイフで切るとサクッといい音がした。
 それを口に入れると、サクサクの香ばしいパイにしっかりと濃いピスタチオクリームがたっぷりと挟まっていて、サイドには小さく砕いたピスタチオと1番上には大粒なピスタチオが並んでる。


「……美味しい、これ。すごく」

「お義母さまからピスタチオとミルフィーユが好きだって聞いて、食べること出来る店を探したんだ……喜んでもらえたかな?」

「はい! サクサクだし生クリームも濃厚でピスタチオのザクザクした食感がたまりません! はぁ〜……」


 ひとりごとを言っていると永眞さんにクスクスと笑われてしまった。私は恥ずかしくてアイスティーを一気飲みをした。

 その後、食事が終わり新居まで永眞さんの運転で三十分ほどで新しい家に到着した。高級住宅街らしく、車を降りれば豪邸が建っていた。



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