不遇な財閥御曹司は、政略妻に一途な愛を捧げたい。
――夜になってお風呂に先に入ると新しく新調したネグリジェのワンピースを着た。パステルピンクのレースがたくさん使われていて袖や裾は透けていて少し大胆じゃないかと思い始める。
「んー……けど、これしかないし。気合い入れなきゃ」
髪をしっかり拭き取り、解いて変な場所ないか確認をする。心の中で「よしっ」と言って浴室を出た。
そういえばリビングに行くのも長いんだよなぁ……なかなかの広さだよね、とスマホを取り出し角を曲がる時に画面を見る。その瞬間、声を掛けられる。
「……永眞さん、どうしたんですか?」
「いや、広いから迷っていないか心配だっただけだ」
「わざわざ来てくださったんですね、ありがとうございます」
ぺこっと頭を下げると「そんな畏まらないで」と優しく声を掛けてきて私に微笑んだ。