不遇な財閥御曹司は、政略妻に一途な愛を捧げたい。



  ***


「さぁ、どうぞ」


 リビングに行くと、私は三人掛けの肩肘ソファに座るように促された。永眞さんは湯気の出ているティーカップをサイドテーブルに置いた。


「……これは?」

「これはブレンデーを入れたミルクティーだよ。はちみつも入れたから美味しいと思う」

「ありがとうございます……いい香りですね。お花の香り?」


 ふわっと濃密な花の上品な香りがする。


「いただきます」

「はい。どうぞ」


 カップに口を近づけると、紅茶とさっきより花の香りが強くなる。一口飲むと、黒糖のような奥深い味わいに包まれ少しだけ酸味が鼻に抜けた。それにブランデーが美味しい。


「美味しいです、こんなおしゃれなもの作れるなんて尊敬します」

「尊敬は大袈裟かな……でも、ありがとう。喜んでもらえてよかった」


 本当に美味しくて、ちょうどいい温度ってこともあると思うけどゴクゴクと飲んでしまった。


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