不遇な財閥御曹司は、政略妻に一途な愛を捧げたい。
「……美味しかったです。ふふ、こんな美味しい飲み物いただいて素敵な夜です」
そう言うとホッとした表情を見せた。すると永眞さんは思いっきり頭を下げて「今回のこと、本当にすまなかった」と謝ってきて、私はびっくりして一瞬固まる。ハッとして、彼に頭を上げるように言えば先ほどまでの笑顔はなくて真剣な表情をされた。
「君にとっては、突然な婚姻だと聞いている」
「まぁ、そうですね。急は急で驚きはしましたけど……私はかまいません。恋愛結婚を夢見た日もありましたが、岡藤家の長女として政略結婚をするというのは覚悟しておりました。昔は、政略結婚が当たり前だったらしいですしこれもご縁ということで仲良くしていきたいなと……私は思ってます」
まぁ、政略結婚は家と家との結びつきのために婚姻をすることが普通だったんだもの。