不遇な財閥御曹司は、政略妻に一途な愛を捧げたい。
寝室は、リビングからは出ずに可動式間仕切りを開けた先にある。だから来客がいない限りは開けっぱなしだ。
永眞さんに運ばれて私はベッドの上に下ろされた。
「この扉締める?」
「う、うん……恥ずかしい、から」
間仕切りドアを閉じると永眞さんは私の隣に座った。
「本当に、していいの? 後悔しない?」
頬に永眞さんの手のひらが包み込むように触れた。私はそれに応えるように、その手に手を上に重ね彼の目を見てから「はい」と返事をする。
「……嫌だと思ったら言って欲しい。止められるよう、努力する」
「んっ……」
お互い目を合わせると彼が近づき唇を重ねた。先ほどより激しく溺れてしまいそうなキスに頭がクラクラする。