不遇な財閥御曹司は、政略妻に一途な愛を捧げたい。


「藍南ちゃん、椎茸水に戻しておいたから甘煮やってくれる? 私は卵をやるね」

「わかりました! よろしくお願いします」


 私は椎茸の水分を握ってしぼると、椎茸の軸を取り傘の部分を細切りにして雪平鍋に椎茸と戻し汁と酒・醤油・砂糖を大さじ一杯入れて強火にかける。
 それがグツグツと煮立ってきたら火を弱くして中火にして煮汁が無くなるまで煮て照りを出すためにみりんを加えてお皿に移した。


 白崎さんは炒り卵が完了していて絹さやの筋を取ったりスモークサーモンなどの下準備は完了していた。私が椎茸やってる間に、こんなに終わってる……すごい。私には無理だなぁ、と思っていると白崎さんは合わせ酢の準備をしていて後は炊き上がるのを待つのみだった。

 そうして炊飯器がピーピーと炊けたことを伝える音がしてしゃもじを持ち私はゆい反旗の蓋を開ける。すると、いつものような心地いいお米の香りがするはずだったのだけど……なんだか、ムカムカして、不快感が襲ってくる。これでご飯を蒸すなんて作業はできる筈もなく休憩室のような場所に連れて行ってもらってソファで休むことになった。



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