不遇な財閥御曹司は、政略妻に一途な愛を捧げたい。
「――なちゃん、藍南ちゃん」
少し眠ってしまったようで私は呼ばれて目を覚ます。
「あ、白崎さんっ……あ、私寝ちゃって」
「うん。藍南ちゃん、今日、体調悪かったんじゃないの?」
「少しだけ、です。でもこんなの初めてで」
「藍南ちゃん。もし、間違えだったらごめんだけど……藍南ちゃん、妊娠してるんじゃない?」
「……え?」
妊娠?妊娠……
「確定じゃないよ。でも、妹が妊娠したときそんなかんじだったから……あ、本当にもしかしたらって話だからね。一度病院で診てもらった方がいいよ。この辺なら、浪岡レディースクリニックがあるよ」
「え、あ……行ってみようかな」
「そうしなよ。私でいいなら今から行ってもいいか私電話するけど、どうする?」
「じゃ、じゃあお願いします。ありがとうございます」
白崎さんが電話をしてくれて私はその浪岡レディースクリニックに行くことになり、一緒に付き添ってくれた。