不遇な財閥御曹司は、政略妻に一途な愛を捧げたい。
クリニックに到着すると白崎さんと別れて受付をすると、問診票を書いて待合ロビーで待つ。
すると、診察室に呼ばれてそれから血液検査と尿検査をしてそれから超音波検査を受けてまた診察室に呼ばれた。
「……伊能藍南さんね、妊娠されていますね」
医師にそう告げられて私は、嬉しさももちろんあったけどなんだか気が抜けてしまい何も言えなかった。時間が沸かないってのもあるけど……
「大体、五週くらいね……この小さな豆粒のようなものがあるでしょ? これが赤ちゃんを包む胎嚢。今の所順調よ」
「そうなんですね……なんだか、驚いてしまって、言葉に上手くならなくて。でもとても嬉しいです」
「おめでとうございます。次は一週間後にきてください。予約は受付で取ってくださいね」
私はエコー写真をもらい、診察室を出ると受付で会計をして次の予約をした。そして、お迎えの車を呼ぶと家に帰宅した。
「あ、永眞さんに連絡しなきゃ……電話で、話してもいいかな」
迷いながら私はスマホの連絡先のアプリを開き【永眞さん】のページをタップして電話のマークを押す。すると三コールで永眞さんの声が聞こえてきた。