不遇な財閥御曹司は、政略妻に一途な愛を捧げたい。



 早川の言う二の方とは、療養中の異母兄()のことだ。ちなみに(いち)の方は父のこと。


「そうか、ようやく動き始めたのか。あの人」

「予想より遅かったな。だが、何か仕掛けてくる。だから、お前も奥さんも気をつけた方がいい。あまり一人で行動しない方がいいと言っておきなよ」

「そうするつもりだ」


 俺よりも藍南ちゃんの方が危ないと予想している。きっと俺を狙うよりも藍南ちゃんを狙った方が俺へのダメージは大きいと考えているだろうから。


「……何度も思うけど、めんどくさい家だよな。永眞には悪いけど」

「確かに、そうだが。母が父のこと本気で好いていたからな」


 早川は俺の事情全て知っている。俺が高校時代、信頼に値すると思い話をした。



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