不遇な財閥御曹司は、政略妻に一途な愛を捧げたい。
***
「……美味しい?」
「はい。これ、お肉がすごく柔らかいですね! 美味しいです」
コースランチで、どれも美味しい。出来たばかりのお店らしく、ウェイターさんも優しい。
「それは良かった。デザートも美味しいんだよ、ここ」
「そうなんですね。永眞さんは、来たことがあるんですか?」
「うん。一度だけね」
そうなんだ。誰と来たのかな、なんて気になってしまう……好きじゃないのに。
「ちなみに、一人で来ただけだから」
「えっ?」
私、そんなに顔に出てたかな!?
「今日の下見に来ただけだから大丈夫だよ」
「……っ! そんなに顔に出てましたか?」
「うん。出てたよ……藍南さん、しっかりしてるから意外だ。ギャップが可愛い」
「か、可愛い……っ!?」
え、やっぱり女の子に慣れてる?ストレートにそんなこと言うなんて……!