camelに溺れる


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今回の顔合わせのためだけに仕立てられた、オーダーメイドのスーツに腕を通して、席についた。




「もう直ぐ来られると思うんだけど」




床の間に無造作に置かれていて、重心が安定しなさそうな特殊な形をした高級な壺。


壁にかかった掛軸は達筆すぎて、何と書いているか分からない。





不慣れな環境に、自分の鼓動が耳を澄まさなくても聞こえてくるぐらい騒がしい。


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