camelに溺れる



「琉、ちょっと待って。琉の言う通りかもしれない。お母さん、あなたが末っ子だから可愛くて。

期待してないわけじゃない。でもみんなが私たちから離れていくのが、寂しかったの」


「でも婿養子なら、出ていくのと同じじゃん」


「婿養子に入れば、琉が社長の後を継ぐことになっていたの。そうすれば、お父さんもあの会社にいるから、いつでも琉がそばにいる」


「…そんなの、俺聞いてない。話が進んでたら、俺が社長になってたってことだろ?そこ大事じゃないの?」





言い訳なんだけど…と話を続けようとする母親を制止して、今度は父親が口を開いた。


< 67 / 78 >

この作品をシェア

pagetop