冷徹な御曹司は親友の妹への溢れ出る独占欲を抑えられない。


* * *


 初めて入ったお兄ちゃん以外の男性の部屋。雰囲気とか家具とか気にする余裕はなかった。
 覚えているのは、今組み敷かれているベッドの広さと大きさに驚いたことだけ。


「あっ、んん……っ」


 どうやって脱がされたのか覚えていない。いつの間にか着ていた服も下着も全部剥ぎ取られ、床に転がり落ちていた。
 雄々しく筋肉質な上半身が私に覆い被さり、先程よりも荒々しく唇を貪られる。


「んっ、は……っ、や……っ!」


 大きくてゴツゴツした両手が剥き出しにされた乳房を掴み、揉みしだく。時折突起を弾いたり、弄ったりまるで遊ばれているかのよう。


「いやっ、ぁ……っ」

「声、我慢するなよ」


 だって、恥ずかしい。こんなの自分の声じゃないみたいで。


「あんっ」

「もう濡れてる」

「っ!」


 かろうじて残っていたショーツも引き抜かれ、文字通り生まれたままの姿にされた。
 今更襲ってくる羞恥心で脚を閉じようとするけど、無理矢理こじ開けられてしまう。


「本当にいいの?やめるなら今だけど?」

「っ、……めないで」


 これが最初で最後だから。


「やめないで……」


 好きな人と過ごせる最初で最後の夜、思い出だけ作らせて。


< 16 / 53 >

この作品をシェア

pagetop