冷徹な御曹司は親友の妹への溢れ出る独占欲を抑えられない。
初恋の続き
一度帰宅してから大学に行った私は、講義中もずっと頭から離れずにいた。キリさんの言葉が。
キリさん、私のこと好きなの……?
いや、なんで!?男の人って一回寝ただけでそうなっちゃうの!?
何となくキリさんはそんな人じゃないと思ってたんだけど……。だって、今までもこんなことはあったはずだし。
じゃあ、本当に私のことが好きってこと……?
頭の中でグルグルしちゃって全然講義に集中できなかった。
それにキリさん、私の結婚も借金も何とかするみたいなこと言ってたけど……何か方法があるのかな?
大学を出たらお兄ちゃんからメッセージが届いていた。
「大事な話があるからすぐに帰ってきてほしい」
多分お店のことだろうと思うので、わかったと返信して帰路を辿ろうとした。その時、
「っ!?」
急に背後から肩を叩かれ、反射的にビクッとして振り払うように振り返った。
目の前にいたのは、三谷須社長だった。
「紫さん、驚かせちゃった?」
「あっ……三谷須、さん」
三谷須さんはニコニコしながら一方的に喋り出す。
「紫さんのこと待ってたんだよ」
「わ、私を?」
「実は良いフレンチの店があるんだけど、是非紫さんに食べさせたくて!これから一緒に行こう。ちょっと早いディナーになるけど、その後ホテルを予約してあるからバーでお酒でも飲んで……」
「あのっ!すみませんが、今日は家の用事があるので失礼します」
すると三谷須さんは急に声のトーンを下げる。