冷徹な御曹司は親友の妹への溢れ出る独占欲を抑えられない。
* * *
玄関に入った直後、壁に押し付けられて唇を奪われる。
「んんっ」
舌先が私の歯並びを確認し、そのままゆっくりと侵入して私の舌をねっとりと絡め取る。拒む隙なんかなく、むしろどんどん気持ち良くなっていつの間にか彼の首に腕を回していた。
「んっ、はあ……」
唇が離れた先から透明な糸がダラリと垂れ下がる。
「かわいい」
キリさんは愛おしそうに私の頬を撫でた。
「その感情ダダ漏れのエロい顔が死ぬほどかわいい」
「それって褒めてるんですか?」
「褒めてるだろ」
そう言ってぎゅうっと私のことを抱きしめる。
「まだ玄関なんですけどっ」
「我慢できなかった」
せめて靴くらい脱がせて欲しいと思いつつ、本音は嬉しくて仕方ない。
いや正直なことを言うと、キリさんの気持ちはまだちょっと疑う気持ちもある。
だってあのキリさんだし。私なんて絶対恋愛対象外だったはずだし。
でも、好きだった人にこんなこと言われてハグされて、喜べない女子っているの!?
「紫……」
「あ……」
磁石が引き寄せられるみたいに、また唇が重なり合う。あの日から何度キスしたかわからない。
だけど、キスを交わす度に唇から甘い熱情を感じる。多分これは気のせいではないと思う。