冷徹な御曹司は親友の妹への溢れ出る独占欲を抑えられない。
ヒョイっと抱き上げられたかと思うと、ポイポイと靴を脱がされ、そのまま抱っこされて連れて行かれた。
訪れるのは二度目になる寝室は、この時初めてちゃんと全貌を見たような気がした。
中央にあるキングサイズのベッドの横にサイドテーブルがあるだけの、広々としてシンプルな寝室。
ふかふかで反発性が心地良いマットレスの上に、大事そうに寝かされる。かと思ったら、今度は強引に唇を奪われて服はたくし上げられ、大きな手が私の胸を包み込む。
「んっ、まって……!」
「待たない」
「やっ、キリさん……っ」
「キリでいいよ。あの時みたいに」
「っ、」
「呼んで、紫」
私を見下ろすこの目が好きだ。
情欲滾らせて私を求めてくれる、獣のような目が。
たまらなく好きで苦しくなる。
「キリ……すき」
想いとともに何故か涙も溢れ出た。
あなたが好き。本当はずっと好きだったの。
傷つきたくなくて、この初恋と早くお別れしたくて必死だった。
初めては好きな人に捧げたかった。
でも、本当はあなたの心も欲しかった。
「好きなの、ずっと……」
「〜っ、あーもう……!」
キリは何故か苦悶するような表情を浮かべた後、覆い被さるように強く抱きしめた。
「やばい、想像以上の破壊力……」
「え?」
「かわいすぎる」