冷徹な御曹司は親友の妹への溢れ出る独占欲を抑えられない。


 そう言うとキリさんは受付のスタッフのところに行き、二言三言何かを交わした。それから戻ってきた。


「お待たせ。入るか」

「え、チケットは?」

「いらない。ここのスポンサー、六条だし」

「えっ!?」


 そうだったの!?
 唖然としながら私たちは展示会の中へ入る。

 改めてキリさんってすごい人なんだな……。

 スタッフさんは皆ニコニコしながら「ごゆっくりどうぞ」と挨拶してくれる。キリさんはともかく、私は何だか申し訳なくてペコっとお辞儀した。


「あ、ありがとうございます。私までいいんですか?」

「俺の彼女だからね」


 か、彼女……!
 なんかそうやって改めて言われると照れるけど、でもめちゃくちゃ嬉しいな。


「彼女、ですもんね、私」

「……かわいい」

「えっ?」

「いや、俺拷問受けてる気分だわ」

「?」


 何だかよくわからないけど、展示会場に入ったら意識が全部そっちにいった。
 キャラクターの設定原案資料、実際に使われた絵コンテ等超貴重な資料が沢山展示されている。


「わっ、これあのシーンのだ!私このシーンが一番好きなんです!」

「へー。俺観てないわ」

「スポンサーなのに?」

「正確には六条のグループ会社がな」


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