冷徹な御曹司は親友の妹への溢れ出る独占欲を抑えられない。
せっかく来たので何かお土産を買いたい。あとお兄ちゃんにも何か買って行ってあげたいな。
私は吟味した結果、ランダムのキーホルダーと缶バッジを二個ずつ買うことにした。
これをお兄ちゃんと一緒に開けるの、楽しみ!
「キリさん、おまた……」
お待たせ、と言おうとしたら、キリさんは女性二人組と何やら話していた。
なんか二人ともイケイケなお姉様って感じ。なんだろう?何を話してるんだろう?
てかもしかして、ナンパ?
「あ、紫」
キリさんは私に気づくと、すぐにこちらへ向かってきた。
「買えた?ちょっと休憩しねぇ?」
「……する」
ちょろっとだけど、さっきのお姉様方が「なんだ、彼女いたんだー」って言ってた声が聞こえた。
やっぱりナンパされてたんだ。
「…………。」
キリさんがモテるのは昔からわかってたはずなのに、なんでこんなにもやっとするんだろう……。
それから私たちは近くのカフェに入った。
このカフェもオーナー元が六条不動産らしく、なんでか知らないけどドリンクチケットをもらった。
有り難くロイヤルミルクティーをいただいたけど、それでも私のモヤモヤは晴れない。
「……なんでさっきからむくれてんの?」
「別にっ。キリさんっておモテになるんだなって思っただけです!」