フラワーガールは御曹司の一途な愛から離れられない。……なんて私、聞いてない!
 やがて幸せな空気のまま式は無事終了。

「本当にありがとうございました! フラワーシャワー、感動しちゃいました……」

 花嫁さんは、わざわざ私の方へやって来て涙目ながらにそう伝えてくれた。
 それだけで胸がいっぱいになる。

 けれど、花嫁さんが去っていた後――

「良かったな」

 社長がそう言って、私の肩に手をポンと乗せるから、泣きそうになった。

「はい……」

 それでも、仕事は終わらない。
 次は会場の片づけだ。

 先ほどまで幸せな空気の漂っていた式場も、お花を外していかなくてはならない。
 今日のリースはこのまま箱に丁寧に仕舞い、新郎新婦の披露宴会場へ運ぶ。
 新郎新婦からのたっての希望で、参列者の希望者に配るらしい。

 すると、まるで当たり前のように社長は隣に並んで、上の方に飾り付けたリースを外し始めた。

「はい」

 当たり前のようにリースを渡され、慌てて受け取る。
 指と指が触れてしまい、慌てて手を引っ込める。
 胸がドクドクと鳴った。
< 23 / 38 >

この作品をシェア

pagetop