フラワーガールは御曹司の一途な愛から離れられない。……なんて私、聞いてない!
それから三日後。
今日は顧客との打ち合わせのため、直接店舗へと向かう。
余計に社長には会えないなと思いながら家を出る。
いや会えないから何なんだ。
彼は、いる世界の違う人だ。
店舗に着くまでに、そんな風に思い直した。
それなのに。
顧客との打ち合わせのため、奥の個室スペースに向かおうとして――
「この店舗の視察は以上だ。気になった点をいくつか訊きたいのだが――」
裏から聞こえてきたのは、そんな社長の声だった。
つい身構えてしまう。
それでも、何を話しているのか気になってしまった。
そっとバックヤードの扉を開き、中を覗く。
店舗の店長である女性社員と、社長が話していた。
周りの社員は遠巻きに、でもその目をハートにして社長へ熱いまなざしを送っている。
ああ、なんかもう……。
そう思って、嫉妬していることに気づく。
いやいやいやいや、嫉妬とか何?
そもそも、私にとって社長は、特別でも何でもないし……。
と、思っていたのに。
遠巻きに見ていた女性社員の元へ社長が話しかけに行くと、彼女たちははにかみながら社長と話している。
それだけで、やっぱりモヤモヤが抑えられなくなる。
そんなはずはない。
だいたい社長は、雲の上の人――。
すると不意に、肩をポンと叩かれる。
振り向けば、金井さんがいた。
「南戸さん、こんにちは。本日はこちらの店舗に勤務だったのですね」
「ええ、まぁ……」
覗いていたことを突っ込まれそうで、その場を立ち去ろうとする。
すると金井さんはぺこりと私に頭を下げ、そのまま社長の方へ行ってしまった。
「次の店舗の視察のお時間です」
社長は金井さんに気づくと社員との会話を切り上げこちらに向かって歩いてくる。
慌てて手に持っていた資料で頭を隠し、社長が通り過ぎる瞬間にぺこりと会釈した。
資料からこっそり目を覗かせれば、こちらを一瞥した社長と目が合う。
けれど社長は、そのまますたすたと店舗の外へ行ってしまった。
今日は顧客との打ち合わせのため、直接店舗へと向かう。
余計に社長には会えないなと思いながら家を出る。
いや会えないから何なんだ。
彼は、いる世界の違う人だ。
店舗に着くまでに、そんな風に思い直した。
それなのに。
顧客との打ち合わせのため、奥の個室スペースに向かおうとして――
「この店舗の視察は以上だ。気になった点をいくつか訊きたいのだが――」
裏から聞こえてきたのは、そんな社長の声だった。
つい身構えてしまう。
それでも、何を話しているのか気になってしまった。
そっとバックヤードの扉を開き、中を覗く。
店舗の店長である女性社員と、社長が話していた。
周りの社員は遠巻きに、でもその目をハートにして社長へ熱いまなざしを送っている。
ああ、なんかもう……。
そう思って、嫉妬していることに気づく。
いやいやいやいや、嫉妬とか何?
そもそも、私にとって社長は、特別でも何でもないし……。
と、思っていたのに。
遠巻きに見ていた女性社員の元へ社長が話しかけに行くと、彼女たちははにかみながら社長と話している。
それだけで、やっぱりモヤモヤが抑えられなくなる。
そんなはずはない。
だいたい社長は、雲の上の人――。
すると不意に、肩をポンと叩かれる。
振り向けば、金井さんがいた。
「南戸さん、こんにちは。本日はこちらの店舗に勤務だったのですね」
「ええ、まぁ……」
覗いていたことを突っ込まれそうで、その場を立ち去ろうとする。
すると金井さんはぺこりと私に頭を下げ、そのまま社長の方へ行ってしまった。
「次の店舗の視察のお時間です」
社長は金井さんに気づくと社員との会話を切り上げこちらに向かって歩いてくる。
慌てて手に持っていた資料で頭を隠し、社長が通り過ぎる瞬間にぺこりと会釈した。
資料からこっそり目を覗かせれば、こちらを一瞥した社長と目が合う。
けれど社長は、そのまますたすたと店舗の外へ行ってしまった。