フラワーガールは御曹司の一途な愛から離れられない。……なんて私、聞いてない!
しばらく抱きしめ合っていたが、女将さんに「あの~」と声を掛けられ。
自分の恰好を思い出し、恥ずかしさで赤面した。
それをケラケラ笑った社長は、二人になれるところに行こうと、とりあえず私の部屋に帰ってきた。
「狭いな」
玄関を入り、その瞬間に社長が呟いた。
「そ、そりゃ庶民の部屋ですから!」
慌てて言うと、社長がふっと笑う。
「隣と、同じ広さだと思っていた。だが――」
社長はぐっと私の腰を抱き寄せ、そのまま廊下を抜ける。
「――こうやってくっつけるのは、いいな」
「しゃちょ……っ!」
甘い空気に絆されそうになりながら、社長に椅子に座ってもらう。
ダイニングテーブルしか、座る場所がないけれど。
すると不意に、社長が目の前の茎を手に取った。
「これは――」
「あー……チョコレートコスモスです。今日、花びらが落ちちゃって」
そう言ったのに、社長はその茎のみになったチョコレートコスモスを愛おしそうに眺める。
それから、私の手渡したペチュニアとともにそこにあった花瓶に挿してくれた。
私は紅茶を淹れ、社長の前に出す。
「……なんだかいいな、こういうの」
え? と社長の方を見ると、社長は楽しそうに私の部屋を見回していた。
「恋人の部屋に入るというのは、恋人を全身で感じられるということだ。こういうものは、俺は経験がない」
「恋人……」
社長がナチュラルにそう言ったのが、胸に響く。
じわんと胸が熱くなり、どんどんと頬が火照っていく。
「違うのか?」
社長は挑発するような目でこちらを見る。
私は慌てて頭を振った。
社長はそんな私を見て、ケラケラと笑った。
「最初は、俺の求婚を断っていたのにな」
「今は、ちゃんと気持ちがありますから。ここに――」
言いながら、気付く。
社長と恋人になるということは、御曹司の恋人になるということで。
「私は、旧御笠財閥の御曹司の彼女――」
口にすると、とんでもない恋人を手に入れてしまったことに改めて気が付く。
「つまり、社長夫人だな」
社長がそう言って、私に微笑みかける。
自分の恰好を思い出し、恥ずかしさで赤面した。
それをケラケラ笑った社長は、二人になれるところに行こうと、とりあえず私の部屋に帰ってきた。
「狭いな」
玄関を入り、その瞬間に社長が呟いた。
「そ、そりゃ庶民の部屋ですから!」
慌てて言うと、社長がふっと笑う。
「隣と、同じ広さだと思っていた。だが――」
社長はぐっと私の腰を抱き寄せ、そのまま廊下を抜ける。
「――こうやってくっつけるのは、いいな」
「しゃちょ……っ!」
甘い空気に絆されそうになりながら、社長に椅子に座ってもらう。
ダイニングテーブルしか、座る場所がないけれど。
すると不意に、社長が目の前の茎を手に取った。
「これは――」
「あー……チョコレートコスモスです。今日、花びらが落ちちゃって」
そう言ったのに、社長はその茎のみになったチョコレートコスモスを愛おしそうに眺める。
それから、私の手渡したペチュニアとともにそこにあった花瓶に挿してくれた。
私は紅茶を淹れ、社長の前に出す。
「……なんだかいいな、こういうの」
え? と社長の方を見ると、社長は楽しそうに私の部屋を見回していた。
「恋人の部屋に入るというのは、恋人を全身で感じられるということだ。こういうものは、俺は経験がない」
「恋人……」
社長がナチュラルにそう言ったのが、胸に響く。
じわんと胸が熱くなり、どんどんと頬が火照っていく。
「違うのか?」
社長は挑発するような目でこちらを見る。
私は慌てて頭を振った。
社長はそんな私を見て、ケラケラと笑った。
「最初は、俺の求婚を断っていたのにな」
「今は、ちゃんと気持ちがありますから。ここに――」
言いながら、気付く。
社長と恋人になるということは、御曹司の恋人になるということで。
「私は、旧御笠財閥の御曹司の彼女――」
口にすると、とんでもない恋人を手に入れてしまったことに改めて気が付く。
「つまり、社長夫人だな」
社長がそう言って、私に微笑みかける。