御曹司の金持くんはマイペースな幼馴染にめっぽう弱い
私には幼馴染がいる。
皆が当たり前に利用するスーパー、ちょっとその辺を歩けば看板が見付かるような銀行、CMでお馴染みの製薬会社──数々の企業を経営する旧財閥「金持グループ」の御曹司こと、金持新多くん。
「かねもち? すごい苗字だね」
「違う」
小学一年生の私は無知で無礼千万だったので、不機嫌な金持くんに気が付くことなく暫く「かねもちくん」と呼んでいた。
「かねもちくん、教科書わすれたから見して」
「やだ」
「何で?」
「おまえ、ちゃんと名前呼ばないもん」
「かねもちくん!」
「違う!」
何が違うのだと眉を寄せた七歳の私は、反対側の席の子に教科書を見せてと頼む。
するとどういうわけか余計に不機嫌になった金持くんが、ブスッとした顔で机を乱暴にくっつけて、教科書をこれでもかと開いて見せ付けてきた。
「ん」
「見せてくれるの?」
「……ん」
「ありがとう、かねもちくん」
「その呼び方やだ」
「じゃあ、あらたくん?」
代替案を提示すると金持くんは真っ赤になって黙ってしまったので、私はじっと考え込んだ。
「あーくん? あっくん? あら、あらぽん」
「……い」
「なに?」
「何でもいい」
「じゃあかねもちくん」
「何でだよ」
金持くんの反応が面白くてヘラヘラ笑っていた私を、彼は何とも恨めしそうに睨んでいた。
皆が当たり前に利用するスーパー、ちょっとその辺を歩けば看板が見付かるような銀行、CMでお馴染みの製薬会社──数々の企業を経営する旧財閥「金持グループ」の御曹司こと、金持新多くん。
「かねもち? すごい苗字だね」
「違う」
小学一年生の私は無知で無礼千万だったので、不機嫌な金持くんに気が付くことなく暫く「かねもちくん」と呼んでいた。
「かねもちくん、教科書わすれたから見して」
「やだ」
「何で?」
「おまえ、ちゃんと名前呼ばないもん」
「かねもちくん!」
「違う!」
何が違うのだと眉を寄せた七歳の私は、反対側の席の子に教科書を見せてと頼む。
するとどういうわけか余計に不機嫌になった金持くんが、ブスッとした顔で机を乱暴にくっつけて、教科書をこれでもかと開いて見せ付けてきた。
「ん」
「見せてくれるの?」
「……ん」
「ありがとう、かねもちくん」
「その呼び方やだ」
「じゃあ、あらたくん?」
代替案を提示すると金持くんは真っ赤になって黙ってしまったので、私はじっと考え込んだ。
「あーくん? あっくん? あら、あらぽん」
「……い」
「なに?」
「何でもいい」
「じゃあかねもちくん」
「何でだよ」
金持くんの反応が面白くてヘラヘラ笑っていた私を、彼は何とも恨めしそうに睨んでいた。
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