御曹司の金持くんはマイペースな幼馴染にめっぽう弱い
 金持くんがお風呂に入ってる間に、おふとんを出そうと思った。そうしてクローゼットからずるりと引き出した小花柄のおふとんを見て、私の眠気が少し覚める。

「可愛すぎるかも……よく考えたら妹チョイスだったな、これ……」

 ──金持くん、男の子なのに。

「…………」

 じわ、と頬が熱くなり、同時に冷や汗も出てきた。
 そうだ、金持くん男の子っていうか男性だった。何を普通にお泊まりなんて提案してしまったのか。いくら電車が止まってるからと言って。お酒怖い、もう飲まない。吐いたけど。

「あ、うう、どうしよ、シャワーの音が生々しすぎる」

 異性を自宅に泊める云々よりもまず、そもそも私は今まで彼氏がいたことがない。色恋沙汰に全く興味がなかったわけではないけど、告白したりされたりは一切なかった。
 特に高校生以降は、アイドルの推し活とか漫画を集めることに夢中で……。

(みお)ちゃんって、もしかして理想めっちゃ高い?』

 失恋した友達を元気づけるため、彼女の家に泊まったときのことがふと頭をよぎる。

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