義弟の恋人
「だから!学校で私に話しかけないで!」
昼休みの屋上で、私はパックの牛乳をストローで飲みながら柵にもたれる廉に詰め寄った。
「だから、なんで?」
廉は心底不思議そうな顔をして、私の顔をみつめた。
「廉はまだ転入したばかりだから知らないのかもしれないけど!」
私はブレザーの胸ポケットから深緑色の生徒手帳を取り出し、そのページをめくった。
「ほら。ここ。ここ読んでみて。」
「んーなになに?校則第12項、制服は着崩さないこと」
「違う。その次の項。」
「校則第13項、在校中は男女交際を禁止する」
「そう。それ。」
私はその文章が載っているページを指さした。
「これがどうしたの?」
「廉と私が付き合っているなんて噂が立ったら困る。私はクラス委員なんだから。」
「ふん。アホらし。」
廉は生徒手帳を閉じると、私の胸ポケットへねじ込んだ。
「なんで会話してるだけで付き合ってることになるわけ?」
「廉と私は同じクラスでもクラブでもない。接点のない男女が話しているなんておかしいでしょ?」
「別におかしくないだろ。同じ学校の同じ学年なんだから接点大アリだと思うけど。大体校則なんて破るためにあるんだぜ?」
「は、はあ?」
「それに誰もいない屋上でこうして会ってることの方が意味深なんじゃねーの?誰かに見られたらどう説明すんの?それこそ付き合ってるって思われるんじゃね?まあ俺は別にそれでもいいけどさ。」
「・・・・・・。」
「ま、いいや。クラス委員である皐月の立場も考えずに悪かったよ。これからは用事があったらLINEする。それで屋上で落ち合う。それでいい?」
「・・・うん。」
「じゃ、俺先行くわ。一緒に歩いてるとこ見られたくないだろ?」
そう言って背中を向けた廉に私は思わず呼びかけた。
「廉!」
男女交際禁止の校則を聞いても顔色ひとつ変えなかった廉。
じゃあ、年上の恋人と歩いていた噂って・・・嘘なの?
「ん?」
廉が一瞬だけ振り向いた。
でも・・・それを聞いてはいけない気がして、その言葉を飲み込んだ。
「ううん。何でもない。なんかごめん。私の都合ばかり言って。」
「いいよ。気にすんな。」
廉は背中を向けたまま、大きく右手をあげてみせた。
昼休みの屋上で、私はパックの牛乳をストローで飲みながら柵にもたれる廉に詰め寄った。
「だから、なんで?」
廉は心底不思議そうな顔をして、私の顔をみつめた。
「廉はまだ転入したばかりだから知らないのかもしれないけど!」
私はブレザーの胸ポケットから深緑色の生徒手帳を取り出し、そのページをめくった。
「ほら。ここ。ここ読んでみて。」
「んーなになに?校則第12項、制服は着崩さないこと」
「違う。その次の項。」
「校則第13項、在校中は男女交際を禁止する」
「そう。それ。」
私はその文章が載っているページを指さした。
「これがどうしたの?」
「廉と私が付き合っているなんて噂が立ったら困る。私はクラス委員なんだから。」
「ふん。アホらし。」
廉は生徒手帳を閉じると、私の胸ポケットへねじ込んだ。
「なんで会話してるだけで付き合ってることになるわけ?」
「廉と私は同じクラスでもクラブでもない。接点のない男女が話しているなんておかしいでしょ?」
「別におかしくないだろ。同じ学校の同じ学年なんだから接点大アリだと思うけど。大体校則なんて破るためにあるんだぜ?」
「は、はあ?」
「それに誰もいない屋上でこうして会ってることの方が意味深なんじゃねーの?誰かに見られたらどう説明すんの?それこそ付き合ってるって思われるんじゃね?まあ俺は別にそれでもいいけどさ。」
「・・・・・・。」
「ま、いいや。クラス委員である皐月の立場も考えずに悪かったよ。これからは用事があったらLINEする。それで屋上で落ち合う。それでいい?」
「・・・うん。」
「じゃ、俺先行くわ。一緒に歩いてるとこ見られたくないだろ?」
そう言って背中を向けた廉に私は思わず呼びかけた。
「廉!」
男女交際禁止の校則を聞いても顔色ひとつ変えなかった廉。
じゃあ、年上の恋人と歩いていた噂って・・・嘘なの?
「ん?」
廉が一瞬だけ振り向いた。
でも・・・それを聞いてはいけない気がして、その言葉を飲み込んだ。
「ううん。何でもない。なんかごめん。私の都合ばかり言って。」
「いいよ。気にすんな。」
廉は背中を向けたまま、大きく右手をあげてみせた。