義弟の恋人
家に帰ると早速キッチンに立ち、役割分担した。
廉はデニムのエプロンをつけ、私はひよこのアップリケがついたエプロンをつけた。
「エプロンなんてつけるの中学の調理実習以来だな。」
「ふふっ。似合ってるよ。」
廉はキャベツを刻み、私はにらを刻んだ。
豚肉に刻んだ野菜をまぜ、何回も捏ねる。
捏ねるのは力のある廉に任せた。
そして餃子の皮にたねを乗せ、ふたりで丁寧に包んだ。
「廉。手慣れてるね。上手。」
私は廉が大きな手で、器用に素早く餃子のたねを包むのを見て驚いた。
「まあね。母さんが仕事で遅くなったときは、俺がメシ作ってたから。」
「ふーん。廉も意外と苦労してるんだね。てっきり冬実さんに甘やかされて育ったのかと思ってた。」
「苦労ならお互い様だろ?自由な親を持つと、子供は自然と成長するよな。」
「うん。そうだね。」
「チーズ味も作ろうか?」
「いいね!カレー味も。」
そうしてみるみるうちに餃子が完成した。
私と廉は笑い合いながら、作った餃子をフライパンで焼いていった。
勢いよく餃子を入れすぎて、油が私の手にはねた。
「あつっ!」
「大丈夫か?!」
廉は水道の水を勢いよく流すと、私の右手を掴み冷やした。
廉の身体が私に急接近し、その吐息が頬にかかる。
私は思わず顔が赤くなった。
「も、もう大丈夫だからっ。」
「本当か?」
「うん。」
私の手は少しだけ赤く染まった。
廉の優しさがなんだかくすぐったかった。
パパと冬実さんは帰ってくるなり、テーブルに並べられた大量の餃子に目を丸くした。
「おお。美味そう!」
「すごいわ!これ、廉と皐月ちゃんで作ったの?」
「はい!廉君の手際がいいのでびっくりしました。」
私の言葉に冬実さんが目を細めて廉を見た。
廉はそんな母親のまなざしが照れくさいのかそっぽを向いている。
パパと冬実さんが席に着くと、私と廉が立ち上がった。
「パパ。冬実さん。結婚、おめでとうございます。」
「おめでと。」
「ありがとう。皐月。廉君。」
パパと冬実さんが頭を下げた。
「では二人に初めての共同作業を行ってもらいます。」
私は冷蔵庫の中に仕舞っていたホールケーキを二人の前に置いた。
昨夜私が内緒で焼いたチョコレートケーキだった。
廉がブレッドナイフをふたりに渡す。
「はい。ケーキ入刀して?」
パパと冬実さんは顔を見合わせ、二人で柄を持つと、ケーキにナイフの刃を入れた。
「なんだか照れるな。」
「ほんとに。でも嬉しい。なによりも廉と皐月ちゃんがふたりでこれを用意してくれたのが本当に嬉しい。結婚するって決めたとき、一番不安だったのはふたりの事だったから。特に廉は女の子が苦手だし。」
「皐月も男の子には免疫ないから正直ちょっと心配してた。でもふたりの仲が良さそうで安心した。」
私と廉は顔を見合わせ、小さく微笑んだ。
「このパーティは廉と皐月ちゃんの初めての共同作業ね。」
冬実さんがふふふっと口に手を当てた。
「ねえ。パパと冬実さん、喧嘩してたでしょ。もう仲直りした?」
「ああ。」
「ね?」
パパと冬実さんが同時に言った。
きっとふたりの中でなにかが解決したんだろう。
それはきっとふたりにしか判らないことで、深入りして聞くことは野暮だと思った。
「さ、食べようか。せっかくの餃子が冷めちゃうからな。」
私達4人は席に座り、大皿に乗せられた餃子に箸を伸ばした。
廉はデニムのエプロンをつけ、私はひよこのアップリケがついたエプロンをつけた。
「エプロンなんてつけるの中学の調理実習以来だな。」
「ふふっ。似合ってるよ。」
廉はキャベツを刻み、私はにらを刻んだ。
豚肉に刻んだ野菜をまぜ、何回も捏ねる。
捏ねるのは力のある廉に任せた。
そして餃子の皮にたねを乗せ、ふたりで丁寧に包んだ。
「廉。手慣れてるね。上手。」
私は廉が大きな手で、器用に素早く餃子のたねを包むのを見て驚いた。
「まあね。母さんが仕事で遅くなったときは、俺がメシ作ってたから。」
「ふーん。廉も意外と苦労してるんだね。てっきり冬実さんに甘やかされて育ったのかと思ってた。」
「苦労ならお互い様だろ?自由な親を持つと、子供は自然と成長するよな。」
「うん。そうだね。」
「チーズ味も作ろうか?」
「いいね!カレー味も。」
そうしてみるみるうちに餃子が完成した。
私と廉は笑い合いながら、作った餃子をフライパンで焼いていった。
勢いよく餃子を入れすぎて、油が私の手にはねた。
「あつっ!」
「大丈夫か?!」
廉は水道の水を勢いよく流すと、私の右手を掴み冷やした。
廉の身体が私に急接近し、その吐息が頬にかかる。
私は思わず顔が赤くなった。
「も、もう大丈夫だからっ。」
「本当か?」
「うん。」
私の手は少しだけ赤く染まった。
廉の優しさがなんだかくすぐったかった。
パパと冬実さんは帰ってくるなり、テーブルに並べられた大量の餃子に目を丸くした。
「おお。美味そう!」
「すごいわ!これ、廉と皐月ちゃんで作ったの?」
「はい!廉君の手際がいいのでびっくりしました。」
私の言葉に冬実さんが目を細めて廉を見た。
廉はそんな母親のまなざしが照れくさいのかそっぽを向いている。
パパと冬実さんが席に着くと、私と廉が立ち上がった。
「パパ。冬実さん。結婚、おめでとうございます。」
「おめでと。」
「ありがとう。皐月。廉君。」
パパと冬実さんが頭を下げた。
「では二人に初めての共同作業を行ってもらいます。」
私は冷蔵庫の中に仕舞っていたホールケーキを二人の前に置いた。
昨夜私が内緒で焼いたチョコレートケーキだった。
廉がブレッドナイフをふたりに渡す。
「はい。ケーキ入刀して?」
パパと冬実さんは顔を見合わせ、二人で柄を持つと、ケーキにナイフの刃を入れた。
「なんだか照れるな。」
「ほんとに。でも嬉しい。なによりも廉と皐月ちゃんがふたりでこれを用意してくれたのが本当に嬉しい。結婚するって決めたとき、一番不安だったのはふたりの事だったから。特に廉は女の子が苦手だし。」
「皐月も男の子には免疫ないから正直ちょっと心配してた。でもふたりの仲が良さそうで安心した。」
私と廉は顔を見合わせ、小さく微笑んだ。
「このパーティは廉と皐月ちゃんの初めての共同作業ね。」
冬実さんがふふふっと口に手を当てた。
「ねえ。パパと冬実さん、喧嘩してたでしょ。もう仲直りした?」
「ああ。」
「ね?」
パパと冬実さんが同時に言った。
きっとふたりの中でなにかが解決したんだろう。
それはきっとふたりにしか判らないことで、深入りして聞くことは野暮だと思った。
「さ、食べようか。せっかくの餃子が冷めちゃうからな。」
私達4人は席に座り、大皿に乗せられた餃子に箸を伸ばした。