義弟の恋人
放課後の体育館。
広いコートでは男子バスケ部が近隣高校の強豪バスケ部を相手に練習試合をしていた。
バスケットボールのドリブルされる音がコートに響き、ゴールが決まるごとに歓声があがる。
ひときわ背が高く、ゴール前で何回もシュートを決めているのは、この春に転入してきた、となりのクラスの五代君だった。
その綺麗な弧を描くボールを操る五代君をハンカチを握りしめながら熱く見つめているのは、クラスメートの杉原野乃子だ。
いや野乃子だけではない。
練習試合だというのに、女子の応援が多い理由は、五代君その人にあった。
五代君は転入早々、女子達の注目の的となっていた。
その上背のある身体は肩幅広く、腰は引き締まっていて、足も長い。
その抜群なスタイルに加え、笑顔が爽やかで、運動神経も良いとくれば女子が放っておくわけがなかった。
バスケ部でも早々に頭角を現し、今日のように応援に来る女子は日に日に増える一方らしい。
「ねっねっ皐月。五代君、またゴール決めた!カッコイイ!」
野乃子がぴょんぴょんとその場で飛び跳ねた。
でも私はその光景を醒めた目で見ていた。
五代君には裏の顔がある、という悪い噂を耳にしてから、どうしても穿った目で五代君を見てしまう自分がいる。
もちろん噂が本当かどうかはわからないけれど、火のないところに煙は立たないという言葉もある。
いわくそれは、かなり年上の女性と腕を組んで歩いていた、それはかなり親密な様子だった、などという好青年らしからぬものだった。
五代君となんのかかわりもない私に、そのことをとやかくいう権利もないし、興味もない。
けれど野乃子は大切な友達だ。
そんな噂のある男子と付き合いたい・・・なんていかがなものかと思う。
とは思うものの、いつもの事なかれ主義が顔を出し、気付くと野乃子の恋を手助けする役割を与えられていた。
広いコートでは男子バスケ部が近隣高校の強豪バスケ部を相手に練習試合をしていた。
バスケットボールのドリブルされる音がコートに響き、ゴールが決まるごとに歓声があがる。
ひときわ背が高く、ゴール前で何回もシュートを決めているのは、この春に転入してきた、となりのクラスの五代君だった。
その綺麗な弧を描くボールを操る五代君をハンカチを握りしめながら熱く見つめているのは、クラスメートの杉原野乃子だ。
いや野乃子だけではない。
練習試合だというのに、女子の応援が多い理由は、五代君その人にあった。
五代君は転入早々、女子達の注目の的となっていた。
その上背のある身体は肩幅広く、腰は引き締まっていて、足も長い。
その抜群なスタイルに加え、笑顔が爽やかで、運動神経も良いとくれば女子が放っておくわけがなかった。
バスケ部でも早々に頭角を現し、今日のように応援に来る女子は日に日に増える一方らしい。
「ねっねっ皐月。五代君、またゴール決めた!カッコイイ!」
野乃子がぴょんぴょんとその場で飛び跳ねた。
でも私はその光景を醒めた目で見ていた。
五代君には裏の顔がある、という悪い噂を耳にしてから、どうしても穿った目で五代君を見てしまう自分がいる。
もちろん噂が本当かどうかはわからないけれど、火のないところに煙は立たないという言葉もある。
いわくそれは、かなり年上の女性と腕を組んで歩いていた、それはかなり親密な様子だった、などという好青年らしからぬものだった。
五代君となんのかかわりもない私に、そのことをとやかくいう権利もないし、興味もない。
けれど野乃子は大切な友達だ。
そんな噂のある男子と付き合いたい・・・なんていかがなものかと思う。
とは思うものの、いつもの事なかれ主義が顔を出し、気付くと野乃子の恋を手助けする役割を与えられていた。