真白に包まれて眠りたい
09.得体の知れない寂しさ

 スマホを持っていると寂しくなる。彼からの返信が来ない事実が色濃く浮き出るからである。返信には依存性がある。自分から送らなければ、返信を気にすることなどない。だがそれができたらこうして悩んでいない。
 返事を返せば、返信を待つ寂しさが襲ってくる。タチが悪い。だから私はひとりで寂しさを呟くことにした。言葉にすることにした。彼には教えてやらない。
 こうして言葉を紡いでいると、少しだけまた、ひとりの人間になれた気がしてくる。だから私は、寂しい時こそ文字を打つ。だけどそれは、彼には内緒。
 でも本当は、この戯言は、いつか彼に見せるために書き始めたものだ。いつかどこかで、私のいないところで見てほしい。
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