イケメン御曹司は恋に不慣れ

「あの時の子に間違いないな…」
あの時かわいい子がいるとつい目に留まって見ていた子が今度は従業員かよ。
そう考えたら頭が痛くなった。

「あんた俺の好みじゃないからさ」と言ったあの時の彼女の呆気に取られた顔がなんだか忘れられずにいた。

あの時たまたま目の前を通り過ぎていった彼女がなんだか気になって気がつけば目で追っていた。見失ったと思ったらナンパ男に絡まれているところを見つけ、それが無性に嫌で助けに行った。
でも、二度と会うことはないと思って、わざと冷たい台詞を吐いて別れた。それできっぱりと終わりになるはずだった。

あの日を振り返ると、つくづく俺はひねくれ者なんだろうな、と思う。
なぜ素直に彼女の言いかけた言葉を聞かなかったのか。
そこには後悔しかなかった。
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