イケメン御曹司は恋に不慣れ

ゴールデンウィークが終わり、年度初めの慌ただしさが落ち着いてきた頃、歓送迎会が開かれることになり、不安を抱きつつも参加をした。
酒宴の場では部長はさらに横柄な態度を見せていた。その場の雰囲気を気にしてか前部長ですら以前のように明るく振る舞ってはいなかった。たぶん、お世話になった前部長が出席でなければ私は不参加にしていただろう。
私は部長に近づきたくないこともあり、端の方の席でひっそりと時間が過ぎるのを待っていた。

ようやく終わったと一安心してその会場から出たところで、前部長にお世話になったことのお礼を伝えていた。すると、こちらに近づいてきた部長が私の肩に腕を回して耳元で声を発した。

「あっれー、川越ちゃんは僕のところにお酌に来てくれなかったよね〜」

部長は相当飲んでいたのか、すっかり酔っ払っているようだった。
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