イケメン御曹司は恋に不慣れ
「僕は二次会には不参加と言ってあるから、誰も気にはしていないさ」
「わ、わたしは帰ります。離してください」
いちおうお願いしてみたが、澄ました顔をして歩き続ける部長には自分に都合の悪いことは耳に届かないらしい…。このままではまずい、絶対に危険だと感じつつ、私に絡む腕の力が強くて逃げられない。
耐えがたい嫌悪感も最高潮となっていた私は、ホテルに連れ込まれそうになった時に一瞬拘束が緩んだのを感じ、思わず部長を突き飛ばした。
とにかく部長に触られたところが気持ち悪くて、その後は息が苦しくなるまで必死に走って逃げた。
そして、週明けの月曜日に会議室に呼ばれ、そこで言われたことが、上司に暴力をふるい全治1ヶ月の怪我を負わせた、という理由で退職を言い渡された。