イケメン御曹司は恋に不慣れ

その日はドリンクの担当で基本的なことはだいぶ覚えていたので、大きな失敗もなく終われそうだった。
残り20分ほどで終了になるという頃、私の前に男性が3人立っていた。

「何になさいますか?」
「そうだな、赤ワインもらえる?」
「はい。どうぞこちらです」
と、グラスをテーブルの前方へ置いたところで持ち上げない様子にその男性を見る。

その男性はなにやら一緒にいる他の男性に肘で突かれていた。
「ほら、なにやってるんだよ」と小さな声まで聞こえてきた。

「あの! この後ってお時間ありますか?」
「えっ? この後って…私ですか?」
目の前に立つ男性が顔を赤くしてコクコクと頷くのが見えた。

「あ、私はまだ仕事が残ってますので…」
「じゃ、じゃあ、待っててもいいですか?」
「待つって、私をですか?」
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