イケメン御曹司は恋に不慣れ
「はあ……」
「なんだよ。せっかく来たのに人の顔を見てため息をこぼしたりして」
「…悪い……」と言うが、視線はグラスに向いたままの俺に柾樹が続ける。
「なんだよ。元気ないな。用事があって呼んだんだろ。悩み事か?」
こんなに落ち着かない気持ちでいる自分が初めてで、次の言葉が続かない。
「はあ…」
「本当にため息ばっかりだな。珍しく女のことで悩んでるんだろ?」
「な、なんでわかる?」
図星をさされ、視線を柾樹に向けるとニヤニヤしていた。
「仕事のことではそんなにため息なんてつかないだろう。で、どこの女だ? かわいい子か?」
柾樹が俺の反応を待っているのがわかり、どう答えたらよいのか悩む。
「それが…」
喉の渇きを感じウイスキーを一気に煽ったところで爽やかな笑顔を浮かべた修一が来た。
「いや、遅くなって悪かったな。マスター、ギムレットを」
注文すると同時に俺の隣に修一が座り3人揃ったところで柾樹が修一に話しかけた。