イケメン御曹司は恋に不慣れ

姉に連れられ店内の隅の方へ行くと、グラスを持ったまま立ち話をしている人たちがいた。
なんだか、一際目を引く集団だなと思っていた人たちだった。
そこに声をかけていく姉の後ろに立っていた。

「芝田くん。この子が妹のひまり。ひまり、こちらは私の同僚の芝田くん」
いきなり男の人を紹介してきた姉に面くらった。
「お姉ちゃん」と肘を突いていると、正面に立った男性が口を開いた。
「こんにちは。はじめまして。いつもお姉さんにはお世話になってます」
「あ、こ、こちらこそ、姉がいつもお世話になってます」
「川越さんから妹さん、ひまりさんのこと聞いてました。こんなにかわいいとは思ってなかったな」

私と芝田さんが挨拶をしている横で姉がニヤニヤしている。
これはこの前に姉が言っていた同僚の紹介というのだと気がついて、この場からどう理由をつけて離れようかと考える。

芝田さんは優しそうな雰囲気を持った素敵な人だと思う。思うけれど、知らない男の人だとどうしても構えてしまい、うまく会話が続かない。
しばらく姉と芝田さんが話しているのを見ていると、どこからか自分の名前が呼ばれた。
< 42 / 70 >

この作品をシェア

pagetop