イケメン御曹司は恋に不慣れ

「あ、私、呼ばれてる。お姉ちゃん、ごめんね。じゃあ、失礼します」
二人に声をかけて声がかかった方へ向かっていくと、不機嫌な顔をしたオーナーが近づいてきていた。

「すみません」と頭を下げる。
「川越さん。まだ仕事は終わってないよ。キッチン入って片付けの手伝いをして」
「はい、すみませんでした」
「あの、私がこの子を引き留めてしまって、すみませんでした。ひまり、また電話するね」
姉にごめんと手を合わせられ、私は慌ててその場を離れた。

「もしかして、彼女のお知り合いの方でしたか?」
「私、あの子の姉なんです。いつもこちらではひまりがお世話になってます。今日は偶然こちらで会えたのでつい引き留めてしまって申し訳ございませんでした」
「いえ、こちらこそお世話になってます」
キッチンに向かう途中、挨拶をしていた二人を見ようと振り返ったところで、発せられた姉の一言で足が止まった。
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