イケメン御曹司は恋に不慣れ
「芹菜。浩介は意外と、というかかなりひまりちゃんのこと気にいってるから、ひまりちゃんをうまく納得させて、浩介に送らせてやってよ」
「祐二、俺は従業員が心配なだけだぞ」
「でも、俺や芹菜が具合悪くても送っていくなんて言わなかったよね?」
「送って欲しいなら今度送ってやるよ」
「そうやって横を向いて表情を悟られないようにしてる時点でいつものお前じゃないよ」
祐二とは俺が学生時代にヨーロッパを放浪していた時に出会ってからの付き合いで、もう10年来の友人だ。
「えっと、ひまりちゃんの様子は見てきますが…。ひまりちゃん、5番テーブルに注文を取りに行った後に急に青ざめた顔をしていたのがちょっと気になったんですよね」
「そういえば5番テーブルって、SKフーズの重役から突然入った予約のお客様だよな?」
「えぇ、そうです。だから、知り合いだったのかなって思って」