イケメン御曹司は恋に不慣れ

「それで、しばらくの間、ホールではなくキッチンか事務室で勤務していてもらいたいんだ」
「浩介さん、私、大丈夫です。だから、ホールのままで…」
「俺が大丈夫じゃない。何かあったらと思うと心配でならないんだ」
「私のこと、心配してくれるんですか? 私、大丈夫ですよ」
「それでもしばらくは接客は避けてくれ」
私は言われるままホール以外の仕事をすることにした。

俺は彼女が出勤する日はできる限りルーチェに行った。
どうしても行けない日は祐二と芹菜に協力してもらっていた。
はっきりと想いを伝えて、それにひまりが応えてくれるなら違う守り方もあるかもしれないが、ひまりが男性を怖がっているのかもしれないと考えると簡単には伝えられない。

「祐二、その後あの男は来店したか?」
「いや、来てはいないんだが、この前ひまりちゃんの出勤する日を確認するような電話があった」
「電話?」
「そうなんだ、川越さんというスタッフがいるか、彼女の勤務日はいつか、とね」
俺はそれを聞いて彼女を守る方法を考えていた。
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