イケメン御曹司は恋に不慣れ
俺は権力を使うのは好きではないが、今回ばかりはどんな力を使ってでも、ひまりを守ると決めていた。
「彼の行動で会社を辞めていった者が複数いることをわかって放置していたのか?」
そう聞いたところ、専務はそれを認めた。
そもそも系列会社で同じことをして問題になっていた。
その時の相手が彼を訴えると言い出したことによって、SKフーズに専務が引っぱってきたのだ。
「彼への処遇はどうするべきかわかっているな」
当然のことだが専務は手を焼いていた甥よりも自身の立場を選んだのだ。
あの男はこれで社会的な立場はなくなった。
これを知って次にどんな行動に出るか。
想像通りに動いてくれるような単純な相手だといいのだが。
俺がSKフーズであの男の処分を決定した日の夜、俺はルーチェに向かっていた。