イケメン御曹司は恋に不慣れ

信じていいですか


部長がお店に来た日から芹菜さんや祐二さんが気にかけてくれていた。
驚いたのは浩介さんの対応だった。
あんな風に泣いてしまったから、私は次に会うのが恥ずかしかった。
浩介さんの執務室に呼ばれた時
「どんな顔して会えばいいのかな…」
と悩んでいたけれど、すごく優しい顔で迎えてくれたので、私の胸はまたキュンとなった。

「こんな風に優しくされたら誤解しちゃうよ」
部屋から出たところで、私がこぼした小さな声を拾っていた芹菜さんが反応した。
「なに? ひまりちゃん、どうしたの?」
「ううん。何でもないです」
「なんだか思ったより元気そうでよかったわ」
「皆さんのおかげです。一人だったら怖くて外を歩けなくなってたかもしれません。皆さんの時間まで使ってしまって申し訳ないんですが、本当に助かってます」
「いいのよ。かわいいひまりちゃんに何かある方が嫌だって思ってるから協力してるんだし。気にしないで」
「ありがとうございます」
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