イケメン御曹司は恋に不慣れ

「よう、祐二。ひまりはどこだ?」
「さっきまで休憩室にいたはずなんだけど、いないか?」
「いや、いなかったんだ」
そこに芹菜が来て祐二の姿を見て驚いていた。

「祐二、もう戻ってきたの?」
「戻るって、俺出かけてないぞ」
「えっ? だってひまりちゃんが外出するって言ってたから、祐二に声かけて一緒に行くように話したんだけど」
「俺、聞いてないぞ。じゃあ、ひまりちゃんは…」
「まさか!?」

俺は慌てて店を出て、駅まで走った。
途中、近くで待機してもらっていたボディガードに連絡をした。
やはり、先ほど見かけた女性はひまりだったのだと思うと、あそこで止まらなかったことを後悔した。

駅に近づくにつれ人が多くなる。
ひまり、どこだ?
ようやく見つけたひまりのすぐ後ろにあいつらしい男の姿があった。
俺は間に合ってくれと願いながら走り続けた。
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