人気イケメンダンスグループのボーカル担当『天野先輩』に溺愛されました。
 メジャーデビューして大きなステージでパフォーマンスをする天野先輩を観にいった。1曲歌い終えると、プツンと糸が切れるように突然泣きだした。つられて私も泣いた。

 その涙はうれしくてなのか悔しくてなのか、理由は分からなかったけれど。全力で歌やダンスに向き合っているのがリアルに伝わってきて、更に先輩を応援したくなった。

 ネットでの配信も、雑誌でのインタビューも。ひとつひとつ先輩の言葉を逃さないように大切に読んだ。もう画面上の先輩や、雑誌での写真の先輩と目が合うだけで幸せだった。

 リリイベで言ってほしい言葉をボードに書いて、そのセリフを目を合わせてくれた先輩に言ってもらえるだけで満足だった。

 がんばって先輩がいるレベルの高いこの高校、星彩高校にも入学して。先輩が体育で活躍している姿を教室で眺めたり、すれ違う時に友達と笑っている先輩の姿を眺めるだけで満足だった。

 頭の中で先輩とのことを箇条書きしただけなのにこんなにも思い浮かぶなんて、自分のことなのにちょっとびっくり。

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