人気イケメンダンスグループのボーカル担当『天野先輩』に溺愛されました。
「私、自分で食べます」
「そっか、じゃあこれ箸、渡しとくね」

 私は先輩から箸を受け取ると、先輩の手作りであるおかずをひとつひとつ、味や感触を忘れないように、丁寧にいただいた。

 全部が美味しすぎて、特に卵焼きは甘くて、先輩のイメージのようだった。

 お互い無言で食べていた。
 最初は緊張しすぎて先輩をみる余裕すらなかったけれど、ちょっとだけ慣れてきて、気づかれないように食べている先輩をちらちらと何回も見た。

 小さな口にたくさん頬張って、リスとか小さな動物みたいだった。そして肌が白くて綺麗。普段お肌にいいことを何かやってますか?とか、気軽に話せる関係だったら聞いてみたいなとも思う。今は全くそんな気配はないけれど。

 ただ横にいられるだけで幸せ。

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