人生は虹色
-序章-
-プロローグ-
今まで、両親から言われるがままの人生を過ごしてきた僕には、夢なんて持つことができなかった。
いつも親が決めたことを従うだけの人生。
忠犬にでもなったつもりか、
いやそうじゃない。
いつからか僕は親の前で笑わなくなった。
こんな引っ込み思案な僕に比べて、
家族や地域の人に愛された兄ちゃんは、
偉大だった。
思ったことをはっきりと言えて、
面倒見が良い、
おまけに頼り甲斐があって尊敬できる人。
僕の自慢の兄ちゃんだった。
兄ちゃんはこんな弟《ぼく》を
最期まで気にかけてくれていた。
命には限りがある。
この世で生を授かってから、
生涯を終えるまで、
はたして何ができるのだろうか?
人は皆、『後悔しないように生きろ』
と簡単に言うけれど、
はたして悔いを残さず、
生きた人などいるのだろうか?
人生は想像以上に過酷で、
高校一年生になった僕には、
山あり谷ありの険しい道のりだった。
兄ちゃん?
聞こえてる?
僕のこと見ててよ……
僕の人生、虹色に染めるから。
輝く陽光が差し込む雨上がり、
青く透き通った空に映る虹を見つけ、
しばらく僕は眺めていた——。
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