人生は虹色

「ねぇ、仁くんはさぁ……気づいてたぁ?」



「うん?何を?」



「わたし、仁くんが好きだったんだよ」



今まで夏実の気持ちに気づいてやれていなかった。



友達として接してきたつもりだったから。



僕は初めて知る夏実の気持ちに、

遅れて愕然とした姿を見せていた。



 
「ふーん、えぇええ!!」



「仁くんは友達として接してたかもしれないけど、わたしは違ったんだから!」



少しだけ不貞腐れるように、

頬を膨らます夏実を見ては、謝っていた。



「ご……ごめん」



「ううん、でもね、ずっと居るうちに友達のままでいいやって思えた。今の関係を壊したくなかったから……」



ずっと葛藤してたのかな?



僕がみんなにただの友達って言ってきたことも、顔に出さないようにして。


関係が壊れないように、

好きな気持ちを隠して……。



「そっか……」



「だから、2年生になってもよろしくね」



「うん……俺の方こそ、よろしく!」



夏実が微笑むのを見たら、

自然と口角が上がっていた。



「おーい、仁!邪魔して悪いけどぉ〜、早く部活行こうぜぇ〜!」



海斗が良い雰囲気だったのを邪魔するかのように、僕を急かす。



それを見て、また僕と夏実は微笑んだ。
< 136 / 143 >

この作品をシェア

pagetop