人生は虹色
「ねぇ、仁くんはさぁ……気づいてたぁ?」
「うん?何を?」
「わたし、仁くんが好きだったんだよ」
今まで夏実の気持ちに気づいてやれていなかった。
友達として接してきたつもりだったから。
僕は初めて知る夏実の気持ちに、
遅れて愕然とした姿を見せていた。
「ふーん、えぇええ!!」
「仁くんは友達として接してたかもしれないけど、わたしは違ったんだから!」
少しだけ不貞腐れるように、
頬を膨らます夏実を見ては、謝っていた。
「ご……ごめん」
「ううん、でもね、ずっと居るうちに友達のままでいいやって思えた。今の関係を壊したくなかったから……」
ずっと葛藤してたのかな?
僕がみんなにただの友達って言ってきたことも、顔に出さないようにして。
関係が壊れないように、
好きな気持ちを隠して……。
「そっか……」
「だから、2年生になってもよろしくね」
「うん……俺の方こそ、よろしく!」
夏実が微笑むのを見たら、
自然と口角が上がっていた。
「おーい、仁!邪魔して悪いけどぉ〜、早く部活行こうぜぇ〜!」
海斗が良い雰囲気だったのを邪魔するかのように、僕を急かす。
それを見て、また僕と夏実は微笑んだ。