人生は虹色
雨に寄せられて
第一章
-雨に寄せられて-
*
秋祭り、当日になった。
『わっしょい』と町中に轟き渡らせて、
由緒正しき建造物が並んだこの街は、
子ども達によって熱気に覆われていた。
今日は神輿が町内を回る日で、
道端には大勢の人が、
まだかまだかと言わんばかりに、
神輿がやって来るのを楽しみに待っている。
夏実は午後からがいいとかで、神輿を見には来なかった。
そんな中、一人でいる僕は、
部屋から外の様子を伺いながら、
家の前を通過していく神輿を眺めていた。
先頭で神輿に繋がれた縄を力一杯、
引っ張る燈也の姿も確認でき、
まだ小学生ではない奏也と洸也は、
琴美姉ちゃんと一緒に家の前で、
燈也が引っ張っているのを応援していた。
神輿の近くには航兄ちゃんが、
付ききっりで警備をし、
安全かつ円滑に回ることができている。
そして、青色の法被《はっぴ》を着て、神輿を担いで回るのは秋の風物詩にもなっていた。