人生は虹色
*
仲秋——
「———えー、今から来年の文理選択の調査をしようと思う。
今から配る紙に名前を書いて、三つの中からどのコースにするか、今段階の希望を書いてくれ……」
「二年生になるのも、あと半年を切ったぞ。
コース分けで自分の将来も変わるから、安易な気持ちで決めないように!」
担任の今田《いまだ》が真剣な面持ちでクラスメイト達に説明している中、僕はポカンと口を開け、外を眺めていた。
———正直、自分の将来なんて、どうでもよかった。
やりたいことや夢?
そんなもの見つけるのが苦しくなって、一生このままがよかったんだ。
考えるのもバカバカしくなるほど、現実逃避する僕は配られた用紙に手をつけることはない。
用紙には文系と理系、
そして、特進コースが書かれていた。
周りから聞こえてくる文字を刻む雑音や喋り声が、聞こえてくる度に息苦しさを感じる。
何だか自分だけが取り残されているみたいで、口から大きなため息が溢れ出た。
ああもう、自分が何をしたいのか分からない———