人生は虹色
「こんにちわ〜」



考え込んでいると、聞き覚えのある声が僕の耳を通り抜けた。



この声って?




もしかして……。



パッと振り向くと、そこには笑顔で航兄ちゃん達に挨拶をする……





夏実が立っていた。



ずいぶん仲が良さそうな関係性。



どういった意図で、

夏実が呼ばれたのか分からない。



それに、秋祭りにチョロっと挨拶した程度なのに、何度か話したことがあるぐらいの感じが、余計に怪しく思ってしまう。



「びっくりしたぁ?」



夏実が僕の目線に気づいたのか、

微笑みながら声をかけてきた。



学校では急に態度がおかしくなって、

喋ることがなくなったのに……。



今日はいつもと違って笑顔だった。



「え!まぁ……うん」



「バーベキューするからおいでって、お兄さんに呼ばれたんだぁ」



「え!航兄ちゃんに?!でも、何で?そんなに仲良かったっけ?」



僕の頭の中が混乱していると、航兄ちゃんは近くにあった椅子に僕を座らした。



「まぁまぁ、何も心配すんなって!手やこ出しとらんけん」



航兄ちゃんは探ろうとする僕を見兼ねて、

僕の両肩を優しくポンっと叩く。



「え?」



「ついこないだ、夏実ちゃんとたまたま会ってなぁ。俺が誘っただけじゃ」



「え!いや、でも誘ったって……」



模試以来、

あまり一緒にいなかったせいか、

何だか調子が狂う。



それに、いつも暗かったはずなのに、今日は明るい。



気になることが多すぎて、

僕は何から聞いたら良いか、

しばらく黙り込んだ。
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