人生は虹色





放課後、海風で髪の毛を靡かせながら、

僕は自転車のペダルを漕いでいた。



ぼーっとしたまま、

今日の模試の結果が頭から離れない。



向かい風でいつもより力を入れないといけない感じが、僕に社会の厳しさを教えてくれているみたいだった。



見慣れた風景。



見るのも嫌になるこの景色。



この先も親が決めた景色を見ることになるのだろうか。



そう考えるだけで、

何度も何度も知らないうちに、

ため息が溢れていた。



毎日毎日、親の顔色伺って。



何だか息苦しさを覚える生活が嫌で仕方なかった。



いっそ早く家から出られたらなんて。



そんなこと思うなんて、

まだ高校生の僕には早すぎる現実だけど、

よく思い考えたことだ。



家まであと少しのところにさしかかった時、僕は航兄ちゃんが車の中で何かをしているのに気づいた。



今日は水曜日。


ということは、定休日だ。



僕を待っていたかのように、

僕のことに気づいては、

笑顔で航兄ちゃんは近寄ってきた。
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