人生は虹色




明かりのついた我が家は、

ひっそりと静まり返っていた。



飛び出してから4時間近くが経ったけど、どうにもこうにも目の前にあるドアノブを引く勇気がなかなか出なかった。



とにかく、このドアの先に進まないと何も始まらない。



覚悟を決めては、

ゆっくりとドアノブを引いて、

家へと入って行った。



「……お、おかえり」



母さんが僕に気づいては、

慣れない言葉で僕を出迎える。



僕は「ただいま……」と静かに返すだけ。



ギクシャクした空間が僕たちを苦しめていた。
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